観光市場は、「食べる」、「買う」、「体験する」、「交流する」、「集う」の時代へ

 ◇観光学を学ぶ上で

2009年1月10日2時50分配信 産経新聞
 「観光立国」を目指し昨年10月に発足した観光庁が“旗振り役”として期待する「観光系大学」で、観光業界に就職する卒業生が2割にとどまっている。経営能力を期待する業界に対し、大学のカリキュラムは歴史や地理重視とギャップがあるのが要因。観光庁は「業界が求める人材を育てられていない」として、大学のモデルカリキュラム作りに乗り出した。(滝口亜希) 
景気悪化の影響で苦戦を強いられている観光業界からは「経営が厳しい中で、一人でも専門性のある人材がほしい」という声が寄せられ、「人材ニーズはむしろ高まっている」(観光庁)。 しかし、国土交通省が平成16~18年度に観光系学部・学科を卒業した学生に行った進路調査では、旅行業が8%、宿泊業が7%、旅客鉄道業が5%。観光業界全体でも23%という寂しい結果だった。  こうした背景について、観光庁観光資源課では「まだ新しい分野のため、企業が欲しがる人材像を、大学側がつかみきれていないため」と分析する。

観光庁が観光関連企業を対象に「求める人材像」を調査したところ ▽管理職・リーダーとしての素質・適性 ▽どの部門にも対応できる基礎能力 ▽社会人としての常識・マナー などの回答が多く、同課は「経営全般について学んでほしいというニーズが見られる」。

しかし、国内の観光系学科・学部のカリキュラムでは歴史、政治、地理などの社会科学系分野を重視する傾向にあり、経営に関しては軽く触れる程度。卒業生の約半分が観光業界に就職する米コーネル大学が、カリキュラムの66・7%を経営分野に割いているのとは対照的だ。 
大手ホテルチェーンで採用にかかわった経験がある琉球大学観光産業科学部の上地恵龍教授は「学生にはマーケティングを学んできてほしかったが、実際は違った」と振り返る。 ギャップを埋めようと観光庁は昨年11月、ワーキンググループを立ち上げ、今年度末をめどに、観光業界への就職につながるカリキュラム作りに着手した。業界が求める経営やマーケティング能力育成などを盛り込む予定だ。観光庁は「観光系大学が求められる人材を育てることで業界が活性化すれば」と話している。

2009年1月10日2時50分配信 産経新聞から

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このような指摘がある中、20世紀に発展した観光も、その行動が変化し「見る」観光から「食べる」、「買う」、「体験する」、「交流する」、「集う」という要素がますます強くなっている。

さらに、成熟化社会の到来により、観光者のニーズはますます「知的好奇心」や「知的精神的快楽」追求が重要視され、観光のライフスタイルも大きく変化している。これは都市観光においても同様であり、魅力的都市観光のあるべき要素として「見る、買う、食べる、集う、憩う」の5つが都市観光のもっとも重要な要素となっている。

これに加えて、新たに「体験する」、「交流する」というキーワードが重要になってきている。また、観光者が街を「回遊」することが都市型観光のもっとも大きな魅力要素となっている。したがって、観光は今「自分独自の観光」であり、「どこへ行くか」ではなく、「何しに行くか」の観光であり、見るだけの観光から学習体験観光が増大し、職場などの団体旅行ではなく、気のあった友人やひとりで楽しむ観光が拡大している。

「地域資源と観光資源」を活かした振興化策においては、地域ブランド戦略の構築とマーケティングが大切である。さらに、地域のブランド化をすすめていくためには、地域ブランドには「二つの側面」があることを理解する必要がある。

ひとつは、地域そのもののエリア・アイデンティティ=地域ブランドの構築と確立であり、ひとつは、地域そのもののエリア・アイデンティティ=地域ブランドの確立であり、もうひとつは、商品ブランドとしての「地域特産ブランド」(特産品と特産物)を含む観光商品である。

地域ブランドによるエリア・アイデンティティの確立は、地域のブランドイメージを向上し、広くモノやサービスが売れるという経済的効果のほかに、地域住民にとっては、地域に対する愛着や誇りを生み出し、地域の活力にもつながる効果も有する。 

また、商品ブランドとしての地域特産ブランドのアイデンティティ確立は、ある特定地域が有する歴史、文化、自然と特産品や伝統工芸品、工業技術など、地域固有の風土を生かして生み出された他の地域とは異なる独自のブランド価値の確立であるともいえる。地域では、コーディネーターを外部から調達することも可能だが、持続的に地域の課題を解決する仕組みを構築するためには、そういった人材を育成できる組織や、プロジェクトを構築することが必要となっている 。

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